2018/10/28
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気楽なところで、一生懸命…と言うことです。
現在は、第11弾が始まって、
真っ只中…と言った様な時期ではないでしょうか。
信州コーヒーロースターズギルドが企画、
同じ生の珈琲豆を、全6店、
各々焙煎士の理念に合わせて飲み比べる…「ギルド豆」、第10弾。
今回の珈琲豆、詳細情報は以下の通り。
(今回も、High-Fiveさんの情報を参考にさせて頂きました)
所在はウィラ県ピタリト地区エル・ロサル、
農園はエル・ミラドール農園、
精製方法はハイドラハニー、
標高は1550-1680m、
品種はカシオペア…とのこと。
精製方法は、
ナチュラルとハニープロセスの間を取った様な方法なのだとか。
「CAFE THE GROVE」のお店(たな)のご亭主さんが、
今回の豆を決めるに当たって、文章を残しております。
10回目と言うことで、
「お客さんも、これは飲んだことないだろうな」…と言う観点。
かつ、
コロンビアの珈琲豆の精製方法はウォッシュトが主流の中で、
ご亭主さんも焙煎の経験がない、ハイドラハニーと言う精製方法かつ、
カシオペア品種は扱ったことがないと言う…
焙煎で味わいは大きく変わる、もちろん精製方法でも、豆の品種でも変わる。
この変化、違いを楽しむと言うことを、
お店側だけでなく、お客さんと共に楽しみたい…
…と言う理念が、信州コーヒーロースターズギルドにはある様です。
今回は自分も10回目と言うことで、
初めて全6店舗を網羅にて、珈琲豆を買い求めました。
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SHINSYU Coffee Roasters Guild
情報は、下記 Facebook のページにて。
( https://www.facebook.com/shinshucoffeeroastersguild/ )
MCRG ギルド豆 Vol.1 「ルワンダ」
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/2017624mcrghop-.html )
「コーヒーの楽しさが、昨日より少し熱を帯びて続いて行く。(2017年6月24日)」
MCRG ギルド豆 Vol.2 「ニカラグア」
( http://sake-soja.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/20179mcrg-960f.html )
「ジャバニカを飲み比べてみようぜ!(2017年9月)」
MCRG ギルド豆 Vol.3 「エチオピア・イルガチェフェ地区(G1・ナチュラル)」
( http://sakesoja.naganoblog.jp/e2185446.html )
MCRG ギルド豆 Vol.4 「パプアニューギニア・AA・ブヌン・ウー農園」
( http://sakesoja.naganoblog.jp/e2201847.html )
MCRG ギルド豆 Vol.5 「ベトナム・エバーグリーン G1」
( http://sakesoja.naganoblog.jp/e2225214.html )
MCRG ギルド豆 Vol.6 「エルサルバドル・温泉ピーベリー」
( http://sakesoja.naganoblog.jp/e2242417.html )
SCRG ギルド豆 Vol.7 「インドネシア・スマトラ島ドロサングル マンデリンG1」
( http://sakesoja.naganoblog.jp/e2261047.html )
SCRG ギルド豆 Vol.8 「ルワンダ・ココウォッシングステーション・ウォッシュト」
( http://sakesoja.naganoblog.jp/e2282965.html )
SCRG ギルド豆 Vol.9 「ケニア・キリマヒガ AB」
( http://sakesoja.naganoblog.jp/e2297066.html )
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【 珈琲茶房かめのや:ウェーブドリッパー 】
何度か、焙煎分売り切れや、豆そのものが無くなる…
…なんて事があって、
特にタイミングが重要な「かめのや」さん…と言う印象。
用事があって出掛けた際、
お店にあってもなくても近くを通るのだから、
聞くだけ聞いてみよう!…と、お店の前数メートルで電話確認。
焙煎したて、まだザルに乗っているけれど、販売はできる…と伺い、
電話後、数秒でお店に到着すると、
店主さんは、ビックリされておりました。そりゃあ、そうよね。
香は、
炭焼きの香ばしさをイメージする。
肉厚なイメージの香、結構深煎りになるのだろうか。
飲んでみると、
苦味強め、渋味もしっかりあって、
ほんの瞬間だけ、グチャッと潰れるくらいの苦味渋味が支配して、
だんだんとビターチョコ感、アーシィ(大地)感が出て来る。
飲む度に、口の中に苦味が蘇り、
これがアクセントになって、繰り返す。
1口目以降は、強い苦味のギャップ感は感じない。
カカオや焙煎された黒糖の様な雰囲気。
舌先に甘味を多少拾う印象。
シンプルなアロマで、多重構造ではなく一層的。
複雑なタイプではない。
得てして、イメージ上の「コーヒーらしさ」って、
そのイメージは僕自身の憧れではなく、
世間一般の…子供が口にしたら「ニガイッ」としかめっ面になる様な、
「一般的なイメージの中の」コーヒーらしさを感じます。
くどさはなく、アロマはカカオ強く濃く甘く、
ドライとは言い切れないけれど、キレのある風合。
YOKOさんは、“渋味苦味があり、チョコレートっぽさがある”…とのこと。
そして、甘味が顔を出し始めると「意外と良いかも」と言う。
☆8.5点だそうだ。
ひとくち目は、夫婦揃って「苦味が立つ!」と意見が一致したくらい。
苦味を楽しむコーヒー…
それは、ネガティブな発想の言葉ではなく、
苦味の美味しさを楽しむ…と言うことです。
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【 FIFTY-ONE COFFEE:V60ドリッパー 】
店内レイアウトが少し変わっていましたね。
メタルスライムさんと一緒に。
お店からのコメントとしては、
「この農園は“ハイドラ・ハニー”と呼ばれる、
独自の精製を行っており、
丸みのある甘味とストロベリーや花のような香が、
その時々でひょっこり顔を出す華やかな味に仕上げました。
なかなかユニークな豆だと思います。」…とのこと。
香は、ナッティでピーナツオイル的なものを想像。
ワカメ、甘い、乾いた木。
少し辛く杏、薄くカカオ、特徴的なナッツ感。
明るい豆感、ウエハースの様な香も。
飲んでみると、
軽くて、香がふわっと緑茶の印象で立つ。少し渋い。
舌の上で、グーンと苦い。
すごくアッサリしているけれど、口の奥に苦味が入る。
口に入れて直ぐでは、軽さ、さっぱりさが勝るが…
あ、いや、全体にさっぱりした系統ではあるのだけれど、
苦さ渋さが利いて、厚味を形成している様に感じる。
酸は、渋味に近い。
魅力的な複雑さを発揮するタイプの酸ではなく、
酸と言うものの定義が、
“複雑さ”であったならば、「酸はない」と言って過言ではない。
温度が下がって来ると、
ほろ苦さが特長になって、バランスを持ち、まとまる。
YOKOさんは、苦味や渋味のアタックが強すぎて、苦手である様子。
香にはナイアガラぶどう系の白ブドウの匂いがある…とのこと。
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【 High-Five COFFEE STAND:ウェーブドリッパー 】
お店からのコメントは、以下。
「すもものようなキリッとした酸味が感じられ、
ジューシーな味わい。後に香りが爽やかに残ります」
…とのこと。
香は、ナッティさ、ピーナツ、甘く優しい香。
熟成されたオレンジ香みたいな…オレンジを煮詰めたもの、みたいな。
飲んでみると、
淡くて優しい。ふっくらさ、お湯感が前にあって、
追って旨さが出て来る感じ。スパイス感もある。
ナッツ的な芳しさ、辛口感もある。これたぶん、スパイス感に通じている。
ラストは辛口で、そのポイントまでは、軽い甘さが続いて行く。
酸は少ない。味、強弱はバランス良く浮き沈みして、とても良い。
少し温度が下がって来ると、酸味が出て来る。
でも、「キュウリに塩」みたいな瑞々しさ、ミネラル、グラッシーさ…
野菜のような、ゆで汁に塩を加えたような、
そう言うイメージを湧き起こす雰囲気。酸の風合。
あ、ラストに少し渋味が出て来て締め括る。
この時は、ふんわり感あって、グッド!
YOKOさんは、アロマは香ばしくて良い。
飲むと渋味がある。でも、甘くて美味しいと思う。☆9.0…とのこと。
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お店のコメントと見比べると、
後半の爽やかさ=心地好さを伴う印象が合致するでしょうか。
すもも的な強い酸の世界は自分には感じず…
たぶん、それは僕自身が比較的感じにくい酸だと思います。
YOKOさんが感じている「渋味」が、まさにそれだろうと…
時たま、レモンを丸かじりしても、特別酸っぱさを感じないくらい、
ちょーっとその部分が、僕は鈍いので、
酸の世界観を感じられていないのかなぁ、と。
ただ、ハイファイブらしいバランスの良さは、
僕もYOKOさんも美味しく頂いたことから、
間違いないところかな…と思っています。
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【 Hop Frog Cafe:ウェーブドリッパー 】
お店からのコメントは、
「残暑厳しいおりの清涼感あるホットコーヒーになる、
涼やかなコーヒーです。是非お試しください!」
…とのこと。
香は、酸がない感じ、甘く濃い類の香。
時間経過で、少し酸が出て来る。少し薄荷のニュアンス。
クリーム系、軽くオレンジ。
飲んでみると、
味わいは、どこかお番茶を想起させる。
ボディ感は、薄身。お湯感。
お湯に黒豆茶を混ぜたような雰囲気。
酸にミネラル感が強くなく、
かと言って苦味が強い訳でもなく、
五味バランスは同等。
で、全体としてほろ苦さがあり、
濃い紅茶を強く入れまくった感じ…貴醸酒みたいに、
紅茶で紅茶を抽出するような、それのような。
香の立ち上がり方は、そっとした感覚。
ラストに黒飴的な雰囲気。
バランスとしてはとても良いのだけれど、どこか静寂の世界観。
YOKOさんは、
「焦げた匂い。ちょっと渋い。香ばしい。
HFCのこれまで飲んで来た中に類似の味わいがあったかも…、☆8.0」…とのこと。
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【 CAFE THE GROVE:ウェーブドリッパー 】
お店からのコメントは、
「印象は香り高いコーヒー!
フローラルな香りが漂ったと思えば、
フルーティーなフレーバーを感じたり、
様々な表情を見せてくれる、
香味が何層にも重なり合った仕上がりになったと思います」…とのこと。
豆を挽いた段階の香は、ナッティ、甘く芳しい。
淡白で、豆の芯部、核が、もったりもたげる甘深い香。
抽出を経て、香は甘く華やか、華やぎ、優しいアロマ。
ベリーはほんの一振りって感じ。
洋ナシのジュレ、“芳しい”に少し酸が乗る感じ。
飲んでみると、
あ、バランス良い。瞬間に五味を感じる。
サッパリ、ほろ苦、スイートでスマート。
しっかり深いんだけど、すごく軽く感じる。
口の中で、ワッと渋さが湧いて、スッと消える。
温度下がって来ると、たまらないな。
コーヒーオブコーヒーぐらいに、トータルバランスが良い。
典型であって、最大の良さ。
おっ、店頭のコメントにあったストロベリーも感じたぞ。
おお、美味しいなぁバランス、ライト、ふわっとスマートに浮き上がる。
…良い雰囲気のままに、
書いている内から香が追って出て来ていて、
上記の様なメモになっていました。
YOKOさんは、落ち着いた感じ。
強い苦さ、渋さもなく、飲み易い。☆8.5…とのこと。
お店のコメントとある程度の合致はあったかも。
とにかくバランスと香の良さが良い印象として残っています。
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【 月と群青と珈琲と:V60ドリッパー 】
香、柿の葉や杉材みたいな香が一瞬。
ロースト感はそんなに感じない。
飲んでみると、
渋く、苦い。甘味が極端にない印象。
自分が濃く入れ過ぎたのか…?
うーん、オイリーさは適度に感じるなぁ。
感触としては、むしろ良い抽出だと思うんだけど。
うーん、苦い。ギンギンに苦い。
甘味、酸味をほとんど感じられない。
温度が下がれば出て来るだろうか。
とてもドライな仕上がりで、余韻に甘い香が少し残る。
焦げた味噌豚焼みたいな印象。
クリーンさはあるのだけれど、
甘さが欲しくなってしまう。ウェイブドリッパーで淹れてみたら出るかな。
強く淹れた紅茶の印象を抱く。
YOKOさんも渋さや苦さを端的に感じているとのこと。
…と、以上、6店舗、飲み比べてみました。
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「どの目線で行っているんだ…」って我ながら自分に対して、
思ってしまうのだけれど、
今回の「コロンビア・エルミラドール農園(ハイドロハニー)」は、
とても焙煎が難しい豆であったのではないか…なんて思います。
嗜好品ですから、
焙煎士さんの理念によって様々だし、
自身の好みに合わないからって「苦手」と書いても、
どこか違和感を感じるものなのですが、
「美味しい」と思うことが出来たお店と、
どうしても苦味が立ってしまったお店と…印象が分かれてしまっており。
苦味はあって良いんです。
苦味があるものなんです。
その苦味の解釈が、難しかったなぁー…なんて思いました。
コーヒーが持つ酸味への注目は、比較的近年の話だと思っています。
以前、安曇野の「おみの珈琲店」を利用していた頃は、
その焙煎士さんの理念として、
酸味が出易い「浅煎り」は全く眼中になく、
せめて「中深煎り」、基本は「深煎り」と言うスタンスでしたが、
そこにあった苦味と甘味のバランスは好みでもありました。
たぶん「書翰集」も似た立ち位置ではないかなぁ…なんて思います。
酸味が加わることで華やかさを持ち、
口の中の環境も変わりますし、
先達ての「小盛り」のブログにも書きましたが、
「バスク風チーズケーキ」を楽しんだ「月と群青と珈琲と」では、
酸味とミルクの好相性を以ってこそ、です。
だので、自分としては無意識に、利き酒の延長線でもあるのでしょう。
今回の珈琲豆については、
きっと環境を整えても良かったんだろう…と思います。
利き酒の様に向き合うのではなく、
パンやケーキ、クッキーの様なものと組み合わせて、
苦味と言う可能性とマリアージュさせて楽しむことが出来たらなぁ…
…と言う反省点を持っています。
確か、YOKOさんとふたりで聞いて、衝撃を受けたのは、
大町の「UNITE COFFEE」での出来事でしたか。
もう何年も前のことですが。
混ぜ物を嫌う日本人の気質的に、
「コーヒーが有名な店では、砂糖やミルクを入れる事は邪道」と、
そんな風に思ったりはしていませんか?
していなくても、この考えに1ミリくらいは理解がありませんか?
1ミリも理解する必要はない…と言うことなんです。
出されたコーヒーを飲んで、
「ちょっと苦いなぁ」と思ったら、少し砂糖を加えてみる…
酸味を感じたならミルクを入れてみる…
「味を変える」のではなくて、「より自分好みに飲み易くする」と言うこと、
その為に、コーヒーには砂糖やミルクが付くのです。
驚きました。
人それぞれ好き好きだと思っていましたから、
「僕は入れないけれど、入れたい人は入れたら良い」と思っていました。
“僕は入れないけれど”…とは、つまり邪道と少しは思っている…って事です。
色んなお店があって、
ランチタイムは忙しいから、
ランチタイム前にコーヒーをたっぷり入れて、
お客さんが食べ終わったタイミングで注ぐ、スッとスピーディに出す…
よくあることです。ただ、そのコーヒーは大いに酸化し、
淹れたてより、酸味が立ってしまうでしょう。
こうした場合にも、少しミルクを加えてあげると、
酸味が和らいで、とても飲みやすくなるんです。
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今でも楽しんで、コーヒーの飲み比べに取り組んでいる…
そう思っていましたが、
どうやら、難しく考え過ぎていた様に感じます。
利き酒の様に、その一口でメモを取り記録し、ブログにしなくちゃ…
…それは、どうでしょうか。
真にコーヒーと付き合っていたのでしょうか。
「苦味」を「苦味」と記録するのではなく、
「じゃあ、何か食べ物でペアリングしてみよう」が答えなんじゃないか、
楽しみなんじゃないか…そう思うのです。
だので、もっと自由に。
こうして、飲み比べでブログ化することは、
今回でお開きとしたいと思っています。
もっともっとコーヒーを楽しむために。
そう思うんです。
もちろん、きっと信州コーヒーロースターズギルドの取り組みは続いて行くでしょうから、
お店に遊びに行った際には楽しみますとも。
ちょうどキリ良く、第10回。
こんなところで、では、お開きと言うことで。
お付き合い頂きまして、誠にありがとう存じました。
これからも良き1杯を追い求めて行こうではありませんか。
それでは。
ありがとうございました。
ありがとうございました。